こんばんは、ちいです。本日は、MRIの定期検査の頻度についてのお話をさせていただきます。
脳卒中になった方はみなさん脳外科外来を受診されているかと思います。そこでは、定期的にMRI検査を撮影することがあるとおもいます。その際の適切な頻度について私見も踏まえて今回お話しようかとおもいます。
MRI定期検査にまわる脳外科の病気としては
- 脳腫瘍
- 脳卒中後
- 未破裂脳動脈瘤
- 術後
- 健康診断(隠れ脳梗塞や脳委縮が心配)
ざっとこういった理由が多いでしょうか。
それぞれ目的が異なるので、これらに関しては定期検査の頻度が異なります。
今回1, 4, 5に関しては直接脳卒中と関係ないので今回割愛します(掲載希望などあればお問い合わせもしくはTwitterなどでお教えいただければ後日記事にします)。
まず、3の未破裂脳動脈瘤に関してです。
たとえば、頭痛などで受診して、偶然MRA(血管を写したMRI検査のこと)で動脈瘤がみつかったとします(動脈瘤の詳細については、また今度記事にしますね)。
患者さまとお話して、経過を見ていくこととなったとします。その際、どのような頻度でMRIを撮影していくでしょうか?
MRAでみつかった動脈瘤は、撮影時点での大きさを計測しているにすぎません。もしかしたら20年間大きさが変わってないかもしれませんし、逆に1年くらいで急激にサイズがかわっているのかもしれません。
MRIの撮影時点では、今後の経過が全く予想できません。
したがって、これは私の場合ですが、MRI検査は3か月→6か月→6か月でサイズがまったくかわらなければ1年に1度の検査に切り替えます。このあとは、場所やサイズによって主治医側の認識がかわります。すなわち、
(主治医が)ちょっと心配している場合は1年を大きく過ぎないほうがいいですし、サイズや場所で破れにくい場所なら1年が2年近くなっても大丈夫という認識になります。
次に脳卒中後に関してです。
脳卒中に関しては、再発のリスクをさんざんと主治医やセラピストから聞かされると思います。患者さまも大変心配されて、MRIを頻回にとりたいとおっしゃる方が結構いらっしゃいます。
脳梗塞に関しては、以前お話させてもらった分類ごとに経過観察の頻度が異なると考えてもらったほうがいいかと思います。まず、
ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症、脳出血
このタイプの脳梗塞に関しては、MRI検査<内科的治療 です。
脳の血管に検出できるような異常がない上記の脳卒中は、MRI検査は補助的な検査になります。理由としては、「MRIは過去をうつすもの」だからです。
1年ぶりにMRI検査を撮影したとして、わかることは「この1年で脳に変化があったかどうか」です。
たとえばここで結果的に症状のない「隠れ脳梗塞」や「無症候性脳出血」がみつかったとしても治療方針はかわりません。
脳梗塞・脳出血再発に関して何かが見つかっても見つからなくても、症状が出ていなければ治療方針は変わらない
ということです。これならば、頻回にMRIを取るより生活習慣をしっかり見直したりお薬をしっかり飲んでくれるほうが随分といいですよね。次に、
アテローム性脳梗塞(脳血管狭窄、頸部内頚動脈狭窄)
です。これらはMRI検査≦内科的治療です。
もちろん、先の内服や生活習慣の是正も大事です。しかし、頸部や脳血管に異常がある=症状の進行があれば再発のリスクが高い、という認識になります。
これも、(主治医が)どれほど心配するかによるとおもいますが、私は1か月~1年で検査(MRIやエコー)を適宜変更しています。
狭窄が進行すれば頻度を狭めますし、まれに改善することがあれば時間を置くこともあります。この場合は、場合によっては検査が頻回だと患者さまが感じる時もあります(もちろん、上記を説明します)。
このように、検査頻度というのは病状や病態、年齢などによって適宜調整しています。検査頻度について疑問などあれば主治医の先生に気軽に聞いてみてくださいね。
では、今回はこのへんで、では!