こんにちは、ちいです。本日は脳卒中後遺症としての「かゆみ」のお話をします。
痒みというのは、基本的には痛みを感じる神経と同じ経路をたどるといわれています(専門用語では脊髄視床路といいます)。
ご高齢の方は、ほとんどが乾燥肌や皮膚疾患による痒み症状で治療としては保湿と抗アレルギー薬、ステロイドなどが中心になります。
しかし、脳卒中の後遺症として痒みを感じる方がいらっしゃいます。
このような方に上記のお薬を処方してもあまり効かず、特に睡眠時などの非常に苦労されます。
皆さん痒みというのは経験したことがあると思います。痒い→掻く→気持ちいい→もっと掻いてしまう
ということはありませんか?
掻くと、μオピオイドという快楽物質が出ることがわかっています。この神経伝達物質がドーパミン(モチベーションを上げる神経伝達物質)を出すことで「気持ちいいからもっと掻きたい」というモチベーションを生み出してしまいます。
脳卒中で、おおもとの痒みを引き起こす部位(後部島皮質や頭頂葉内側が原因と言われています)に障害があると、痒み(ひどくなると痛み)を引き起こして難治性の痒みを起こします。
頭部に電気刺激や磁気刺激(脳卒中のリハビリでも使用することがある治療です)を加えることによって痒みを抑制したり、μオピオイド受容体拮抗薬を使用(掻いても快楽物質がでないためまた掻きたいと思わなくなります)することによって治療することができます。
もし脳卒中後で痒みに悩まれている方は、お近くの脳外科やリハビリスタッフにそうだんしてみてくださいね。では!
参考にさせていただいた文献は 日医雑誌 150巻 8号 2021.11 1351-1354です