こんばんは、ちいです。
本日は脳卒中の起こりやすい気候を記載した論文を紹介します。
先日、脳卒中を発症しやすい時間帯のお話をしました(こちら)。今日は気温や気圧との関係をまとめた論文の紹介になります。
寒いと脳卒中になるの?
冬は脳卒中の季節といわれることがあります。確かに冬場のほうが全体的に患者さまが多い印象があります。実際、脳外科医・脳卒中内科医は寒くなってくると忙しくなるなと気を引き締めていきます。しかし、夏場にも脳卒中の方がつづく時ももちろんあります。
脳卒中と天候を調べた研究は意外と少ない
私自身は、脳卒中というのは気圧の変化で発症リスクが上がるとおぼろげに考えていました(気圧の変化が大きいと頭痛を発症しやすいように脳の中のバランスが崩れやすいのでは?と考えていました)。
しかし、自分自身の病院で気圧の変化と脳梗塞の発症数で調べてみましたが、正直いまいち相関が得られませんでした。そこで、先人たちの知恵を借りたいと思います(笑)
脳出血に関しての考察
・脳出血は寒い日に多い。
Shinkawa A, Ueda K, Hasuo Y, Kiyohara Y, Fujishima M. Seasonal variation in stroke incidence in Hisayama, Japan. Stroke. 1990;21(9):1262–7.
・脳出血は気圧が上昇すると多い。
Jimenez-Conde J, Ois A, Gomis M, Rodriguez-Campello A, Cuadrado-Godia E, Subirana I, et al. Weather as a trigger of stroke. Daily meteorological factors and incidence of stroke subtypes. Cerebrovasc Dis. 2008;26(4):348–54.
・寒くなって4日後あたりで脳出血が多くなる。→紹介論文の結論
脳梗塞に関しての考察
・脳梗塞は寒冷暴露の2-5日後に多い。
Hong YC, Rha JH, Lee JT, Ha EH, Kwon HJ, Kim H. Ischemic stroke associated with decrease in temperature. Epidemiology. 2003;14(4):473–8.
Wang YC, Lin YK. Association between temperature and emergency room visits for cardiorespiratory diseases, metabolic syndrome-related diseases, and accidents in metropolitan Taipei. PLoS One. 2014;9(6):e99599. Epub 2014/06/17.
・脳梗塞(ラクナ以外)は気圧が低いと多い。
Jimenez-Conde J, Ois A, Gomis M, Rodriguez-Campello A, Cuadrado-Godia E, Subirana I, et al. Weather as a trigger of stroke. Daily meteorological factors and incidence of stroke subtypes. Cerebrovasc Dis. 2008;26(4):348–54.
・脳梗塞は気温が急に下がると多い。
Sueda Y, Hosomi N, Tsunematsu M, Takamatsu K, Nomura E, Torii T, et al. Effects of Meteorological Conditions on the Risk of Ischemic Stroke Events in Patients Treated with Alteplase-HEWS-tPA. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2015;24(7):1500–5.
考察のまとめ
脳出血
・急に気温が下がった日
・気温が下がって数日後
・よく晴れた日
脳梗塞(ラクナ梗塞以外)
・急に気温が下がった日
・気温が下がって数日後
・天気の悪い日
似たような結果が得られました。気圧以外は似たような結果かと思います。
なおラクナ梗塞(脳内にできる小さな脳梗塞)に関しては、文献は省きますが年中一定の確率で発症すると言われています(ゆえに、脳卒中の少ない夏場には相対的に多くなります)。
該当する日には、脳卒中に注意したほうがいいかもしれませんね。では本日はこのあたりで。