こんばんは、ちいです。毎日寒いですがいかがお過ごしでしょうか。
本日はもやもや病についての治療介入の意味と、そもそものもやもや病の治療目的について考察します(今回の記事は私見も入っており、学会的や学術的な引用ではありませんが、私の患者さまにはみんな説明させていただいている内容です)。
もやもや病の最終的なゴールは?
もやもや病について、教科書やネットを検索すると「内頚動脈が脱落してくる神経難病で、経過中に脳梗塞やまれに脳出血をきたす」とかみ砕いて書いていると思います。
では、脱落が進行するとみんな脳梗塞を起こすということでしょうか?それを防ぐためにみんな手術が必要でしょうか?
いいえ、違います。
それを説明するために、まずは脳を栄養する血管についてお話します。
あたまを栄養する血管は、先ほど書いた脳を栄養する内頚動脈と主に顔面を栄養する外頚動脈が存在します(下図)。
もやもや病に罹患すると、内頚動脈からの脳の栄養が減少してきます。その代わり、外頚動脈からの血流が代償的に増えてきます(下図)。
最終的に、内頚動脈は完全に脱落し脳は外頚動脈からの血流のみとなります(正確には脳の後部を栄養する血管からの血流は残存することが多いですが、今回は説明の省略のため省きます)。
この過程で、
内頚動脈の血流低下=外頚動脈の血流上昇 であれば、特に症状をきたしません。
問題なのは
内頚動脈の脱落に、外頚動脈の血流上昇が追い付かない場合
です。
この場合は、脳梗塞や一過性脳虚血発作などをきたし、神経症状が出現します。
ようするにもやもや病の治療とは
脳血流の外頚動脈へのスイッチが、脳梗塞や脳出血といったイベントを起こさずに完了することが目的である。
といえます。
しかし、現実には上記に記載したように内頚動脈の脱落速度のほうが早いことが多く、血流低下を多くの方が起こします。
その場合は
外頚動脈→内頚動脈の血流を人工的に増加させるために手術を行います。
ですので、全員に手術をする必要もありませんし、症状もないのに予防的に手術をする必要もありません。
ただし、治療時期を見誤ると後遺症が残ることがありますので、十分に主治医との話し合いが必要になるかと思います。
今回、脳出血を起こす理由に関しては説明の簡素化のためは省きました。脳出血の記載のご希望などありましたらお問い合わせいただければお答えさせていただきますのでお気軽にご連絡いただければ幸いです。
では、本日はこのあたりで!