更新に時間がかかってしまいました。こんにちは、ちいです。

本日は、「類もやもや病」のお話をしようと思います。

類もやもや病とは?

以前から「もやもや病」っぽい血管なんだけど、「もやもや病」の診断に合致しない病態というのが存在していました。

要は、もやもや病の診断基準に入らない「もやもや血管を有する病気」のことを類もやもや病といいます(もやもやが多いですね)。

もっと具体的に言うと、基礎疾患+「もやもや血管」=「類もや」ということになります。

類もやをきたす基礎疾患は下記の通りとなります。

もやもや病、類もやもや病の原因は同一の遺伝子異常である

もやもや病の原因遺伝子はすでに特定されています。

RNF213(17番染色体)上のR4810K変異がアジア人においては原因とされています。この遺伝子変異を持つ人は、東アジア人の100-300人にひとりが「もやもや病」を発症するといわれています。

では、類もやではどうでしょうか。実は類もやを発症する方の多くも、このR4810K変異が認められているようです。doi: 10.2169/internalmedicine.4042-19

文字通り、類もやもや病とはもやもや病の「親類」である

もやもや病も類もやもや病もR4810K変異の違う側面から病気を見ているに過ぎない

すなわち、もやもや病も類もやもや病も、R4810K変異の遺伝子異常をベースにした疾患ということです。

基礎疾患なく発症する→もやもや病

基礎疾患との合わせ技で発症する→類もやもや病

ということなので、同じ病気をことなった視点から眺めているということにあります。

もっとも異なるのは、難病申請が通るかどうか

類もやもや病は、神経難病としての申請がおりないことが多いと思います。病気としては同じ遺伝子異常をベースにしていますが、いまのところ「基礎疾患の結果として類もやが発症している」という認識だからです。

実際には、遺伝子異常を有する方が、基礎疾患を患うことで類もやを発症する可能性があるという解釈のほうが正しいと思います。

今回のもやもや病での診断基準では明確に「類もやでないこと」が項目に入っているため、場合によっては難病指定者が減る可能性もあります。

私としては、類もやの方ももやもや病の方と同じような扱いになればとおもいますが、現実診断基準が現行のままでは難しいのかもしれませんね。

本日は少しむずかしいお話でしたが、もやもや病の病気がもっと解明されていったらいいなと思います。それでは本日はこのへんで。

投稿者

ちい

神戸某病院で脳卒中外科医をしている「ちい」です。 2児(5歳♂3歳♂)の父親で、趣味でランニングとフィットネスボクシングしています。 脳卒中の1次予防(病気にならない、再発させない)、2次予防(早期発見、適切な治療介入)を中心として一般の方に理解しやすいよう情報発信していきたいとおもいます(不定期・更新頻度はおそめです)。 趣味のダイエットに関する情報も発信していきます。

2件のコメント

  1. 分かりやすい解説でした。
    以前は脳出血のリスクなど、日常生活の注意点などの解説もありがとうございました。

    私は片側もやもや病で、術後、職場復帰後に高次脳機能低下が認められ、現職の急性期病院に復帰できずにいます。
    今月にある、もやもや病の市民講座をオンラインで受けて、更に学びたいと思います。

    ナースまりぃ
    1. お返事おくれてしまい申し訳ありません。
      できる限り麻痺や構音障害などの他覚的にわかる障害が残らないよう努力していますが、どうしても高次機能障害や日常の生活しづらさが残ってしまうことがありますよね。我々も、患者さまも常にどうすればこの病気に立ち向かえるのか日々勉強が必要ですね。お互いがんばりましょう!

      ちい

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